有事法制問題を根本から考える

第81回 例会のご案内

「ならず者国家」に対する備えはこれでよいのか?


 今春の通常国会に有事法制案が政府から提出されたが、重箱の隅をつつくような議論と備えるべき事態に関する神学的論争が続くなかで、外務省のごたごたや防衛庁の情報公開がらみの事件が起きると、政府は早期通過の意志を失い、先送りということになった。10月18日に始まった臨時国会では継続審議が行われることになっているが、目前の経済失速への対策で大わらわになっている小泉政権が、はたしてこの重要法案に真剣に取り組むか否か、いささか不透明になりつつある。

 戦後の日本は、アメリカに与えられたいわゆる「平和憲法」のもとで、独立国家であれば基本中の基本に属する有事法制の整備を怠り、事が起きるたびにその場凌ぎの膏薬貼り対策でお茶を濁してきた。ただいまマスコミの関心を集めている北朝鮮の拉致問題も、その根本は、日本領土内に工作船・スパイ船を送り、白昼堂々と日本国民を拉致する「ならず国家」の常軌を逸した行動に対する、十分な備えがなかったためであると言えよう。

 拉致を白状した「偉大なる将軍様」は、国際的公約に反して核開発を進めてきたことをも明らかにした。人道的援助を与え続ければ、相手は平和な国際社会の一員になるという希望的観測に立って近隣アジア外交を進めてきた我が国の、政党、外(害?)務省、マスコミ、評論家センセイの甘さが、白日の下に晒されたことになる。

 今回はこの問題を真正面から考えてみたい。講師はマスコミ人としては珍しく、早くから国家の安全保障問題に深い関心を持ち、有事法制問題について真剣な考察を重ねてきた論客である。ふらふらと基軸の定まらない日本のあり方を抜本的に見直すとともに、近隣アジアとの関わり方をも再考するきっかけとしたい。


日時:平成14年11月9日(土)18:00〜20:00 

会場:大阪リバーサイドホテル 都島区中野町5−12−30 電話:06−6928−3251

     JR環状線「桜宮」(大阪駅から二つ目)西口下車、徒歩2分

会費:千円  非会員二千円

講師:吉原恒雄 拓殖大学国際開発学部教授

演題:有事法制問題を根本から考える


<講師紹介>

昭和15年大阪市生まれ。関西学院大学卒卒業。時事通信社入社。政治部記者、海外部次長などを経て、平成7年から県立広島女子大学国際文化学部教授。11年から現職。

最近の主な著書・論文に 『国家安全保障の政治経済学』『新しい日本の憲法像』「集団的自衛権行使違憲論批判」など。