日亜協会 第332回 例会 ご案内
現在、過激な環境問題批判、LGBT、ジェンダー、言語や文化の極端な差別批判などが、各国で展開されています。その土台となっているのが、1990年代以降歴史学界を席巻してきたフランクフルト学派等によるネオ・マルクス主義による国家論です。 日本でも、ソ連崩壊以後、旧来のマルクス・レーニン主義は鳴りを潜めましたが、フランスのネオ・マルクシスト=アルチュセールに依拠した西川長夫氏が、近代国民国家のあらゆる組織や機構を、支配のためのイデオロギー装置とする特異な「国民国家論」を展開します。 以後、この歴史観は、我が国の歴史学界を席巻し、日本を含めた近代国家を全面否定する論調が跋扈していきます。 この動向を正しく批判的に理解することが、巷間、流布される近代の価値観や制度等への否定的言説の正体を見極め、日本の国家と文化を守り発展させていくうえで大切なことと考えます。
報告では、西川氏の国民国家論の構造を解説し、その問題点を批判します。
日時:令和7年5月23日(金)
18:00〜20:00(17:50開場)
会場:大阪市立総合学習センター(大阪駅前第2ビル)5階第6研修室
会費:千円 (非会員二千円),学生200円
二次会:2階北西隅「北大会館」 懇親交流会 千円(非会員も同じ)
※中止や会場変更の可能性あり。
演題「日本におけるネオ・マルクス主義による国家論
=西川長夫氏の国民国家論、批判」
講師:筒井 正夫(滋賀大学名誉教授)
<講師プロフィール>
1955年横浜市生まれ。1985年一橋大学大学院博士課程修了。2020年3月滋賀大学経済学部教授にて退官。同大学名誉教授、経済学博士(一橋大学)。専門は日本社会経済史、近江商人経営史、都市史・農村史、茶道等日本文化研究。滋賀県・静岡県等で多くの自治体史編纂に従事。歴史的建造物や文化財を活かしたまち作り、戦後の自虐史観を排した真の歴史像を伝える活動を展開している。
著作多数。『巨大企業と地域社会』日本経済評論社、『近江骨董紀行』『近代日本都市史研究』『近江日野商人の研究』新評論。「社会主義・共産主義的世界観の批判的検討」『彦根論議』2018〜19.