アジアの歴史と現実を正しく把握し、日本との関わりを考えようとする意欲のある市民の集い。

> コラム > 伊原吉之助教授の読書室


世界の三極構造


 日本は現在のところ、世界の三極構造の一極を占めています。その端的な証拠が二つあります。


 第一、北極を中心とする三極構造:

 地図でなく、地球儀で上、つまり北極の上から北半球を眺めて御覧なさい。日米欧がほぼ正確な正三角形を成して位置しています。

 この位置関係は「有史以来」と言いたいところですが、大陸移動説などありますから、少なくとも現在の大陸関係が定まって以来のものです。日本は「選ばれた位置にあった」と言えるでしょう。ロシヤもシナも、太平洋への出口を日本列島とそれに連なる列島群に阻まれているのです。

 この有利な位置は、「天の恵み」と言えます。


 第二、過去二千年来の経済成長の成果:

 『経済統計で見る世界経済2000年史』 (柏書房、2004.11.30) という素晴らしい本があります。著者はアンガス・マディソン、金森久雄監訳、政治経済研究所訳、定価は 13,000 円 (+税) もしますが、それだけ支払う価値のある貴重な書物です。何しろ、過去2000年の各国の経済統計を数値で示しているのですから。

これまで、世界経済は、主要国以外は数値が示されず、大雑把な推計値しかなかったのを、著者アンガス・マディソンは、実質購買力を示す「購買力平価に基づいた世界共通の通貨単位」1990年国際ドルで統一的に数字化し、信頼度の高い数値化をして比較論評しています。

著者は1926年、英国生れ。ケンブリッジ大学で歴史と経済学を専攻し、1953年以降、OEEC〜 OECDに勤務して社会経済政策を担当、1978年にオランダのグローニンゲン大学教授ですが、OECDから経済成長の統計的研究の成果を出し続けています。本書もOECDから英語・佛語で出版されました。


本書から、過去二千年の経済実績を示す表を三つ、引用します (邦訳31頁) 。


表1-1 世界の人口 (単位= 100万人)
 0年1000年1820年1998年
西  欧24.725.4132.9388
米加濠NZ1.22.011.2323
日  本3.07.531.0126
     
平均28.934.9175.1838
     
中 南 米5.611.421.2508
東欧・ソ連8.713.691.2412
アジア(日本抜き)171.2175.4679.43,390
アフリカ16.533.074.2760
 平均202.0233.4866.05,069
世  界230.8268.31041.15,908


表1-2 世界 1人当り実質 GDP (単位=1990年国際ドル)
 0年1000年1820年1998年
西  欧4504001,23217,921
米加濠NZ4004001,20126,146
日  本40042566920,413
 平均4434051,13021,470
     
中 南 米4004006655,795
東欧・ソ連4004006674,354
アジア(日本抜き)4504505752,936
アフリカ4164164181,368
平均4444405733,102
     
世  界4444356675,709


表1-3 世界の実質 GDP (単位=10億国際ドル)
 0年1000年1820年1998年
西 欧11.110.2163.76,961
米加濠NZ0.50.813.58,456
日 本1.23.220.72,582
平均12.814.1198.017,998
     
中 南 米2.24.614.12,942
東欧・ソ連3.55.460.91,793
アジア(日本抜き)77.078.9390.59,953
アフリカ7.013.731.01,939
平均89.7102.7496.515,727
     
世  界102.5116.8694.433,726


日本は単独で、紛れもなく、世界の三極の一つなのです。東アジア で中国と争う地域権力ではない、地球の存続に目配りせねばならない「責任ある大国」なのです。

それにしては、今夏の参院選は「地域的話題」しか出ませんでしたねえ……

 テレビも新聞も、「世界をどう動かして行くか」なんて、さっぱり話題にしません。

日本国民たるもの、大いに反省せねば!

(平成19年8月13日記)