中國人とは中華人民共和國の國民のことである-伊原教授の読書室

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  「 中國人とは中華人民共和國の國民のことである 」



                筆者=楊劉秀華 ( 國際文化基金會董事長 )



                「 中國人等於中華人民共和國國民 」


                  ( 東京 『 台生報 』 7.25,1面 )



伊原註:東京で台獨派の連根藤さんが發行してゐる中文の月刊紙 ( B4で2頁 ) に載つた

        投書 ( 多分 ) です。

        筆者は文中、終戰時に25歳と書いてをり、15歳だつた私より10歳年上の女性です。

          ( 楊=ご主人の姓。劉=ご自分の姓。秀華=ご自分の名前 )


        私の 「 台灣政治改革年表覺書 」 に収録したのですが、興味深い内容なので、ここ

        に紹介します。


        台灣人の置かれた複雜且つ困難な状況を察知されますやうに。






  近頃 「 私は台灣人だ 」 といふ文言が メディア で熱い話題になつてゐますが、をかしなことです。

    ( 伊原註:言ひ出したのは民主進歩黨の蔡英文主席です。

    ( 總統選で外省人=中國人である馬英九總統と鬪ふための スローガン なのです )


  台灣に生れ、台灣で育ち、台灣で生活してゐる人が

  なぜ大聲を擧げて 「 私は台灣人だ 」 と強調せねばならないのでせうか?


  日本は 1895年 ( 明治38年 ) 11月18日付で出した 「 日令第35號 」 の規定に依り、

  台灣・澎湖諸島の住民に 「 二年間 」 の猶豫を與へて國籍を選擇させました。

  「 清國人 」 になるか、それとも 「 日本人 」 になるかを選べといふ譯です。


  當時、私の祖先は台灣に留まる選擇をし、歸化して日本人になりました。


  目下世界で誰もが認める 「 中國 」 とは 「 中華人民共和國 」 を指します。

  私は中華人民共和國の國民ではありませんから、當然 「 中國人 」 ではありません。

  これは極く簡單明瞭な道理です。


  それでも、私は中華民國國民である、中華民國の國籍を持つといふ人が居られませう。

  事實は以下の通りです。


  第二次世界大戰が終る前、25歳の私は日本國民でした。

  その後、私の國籍は 「 中華民國國籍 」 に變りました。

  およそ本人の選擇も同意もなしに、高壓的な權威主義統治者の強烈な壓迫、テロの下で、

  はつきり自覺せぬ儘、中華民國國民にされてしまつたのです。


  1952年4月19日に公布された日本政府の公文書── 「 法務府民事甲第438號 」 にかうあります。


  平和條約 ( 1952.4.28 に發效する サンフランシスコ平和條約 ) が發效する當日以降、

  台灣人は日本國籍を喪失する、と。

    ( 伊原註:この條項は、日華平和條約第十條で踏襲されてゐます ) 。


  從つて平和條約發效前に、台灣人が強制的に 1945年10月25日 ( 伊原註:日本軍の降伏式 ) に

  中華民國國民にされてしまつたのは、明確に國際法の原則に違反し、

  且つ又 國聯憲章の精神にも悖 ( もと ) るのです。


  私はいつも、

  台灣人はどうしてこんな難しい状況下で苦しまねばならぬのかと

  思ひ知らされてをります。


  台灣の法的地位 及び台灣人の國籍をはつきりさせるため、

  オランダ の ヘーグにある國際司法裁判所に行つて、

  裁判所の判事の方々に御意見を伺ひたいものです。


  皆さん、目を覺ましなさい。

  台灣人の名譽のため、大聲で叫びませう、

  「 私は台灣人です、中國人じやあありません 」 と。


  馬先生、郝先生 ( 伊原註:郝柏村の息子、台北市長 ) に伺ひたいです。

  あなた方 ( 伊原註:彼らの父親の世代 ) は何故台灣に來たのですか?


  内戰に敗れて逃げ込んだのでせう。


  その時、私達台灣人は誰もあなた方を拒絶しませんでしたよ。

  それどころかあなた方がこの土地で私達と一緒に生活するのを歡迎し、

  今日まで平安な生活を共にして來ました。

  あなた方に何か言ひ分がありますか?


  もしあなた方が台灣に居ることを喜ばず、台灣人になりたくないといふのなら、

  何時でも台灣を出て何處へでも行けるのですよ。

  米國へも行けます。

  米國へ行つて、米國籍を取つた中國人 ( * ) にかう言ひなさい、


  「 私は中國人です、米國人じやあありません 」

  ( *米國籍を取つて米國に在住する馬先生の二人の娘さんも、この中に含みます )


( 平成23年8月25日 )