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中国史の時代区分
『中華文明史』の時代区分を紹介したついでに、ユニークな時代区分を紹介しておきましょう。
岡田英弘『中国文明の歴史』(講談社現代新書1761, 2004.12.20/740円+税) です。
同書23頁に一覧表があります。
ユニークなのは、紀元前 221年の秦の統一から1895年/光緒21年/明治38年までをシナ時代とし、それ以前を「シナ以前の時代」、それ以後を「シナ以後の時代」と三分することです。しかも「シナ以後の時代」を、日本型近代化モデルを踏襲する「日本の影響が顕著な時代」とします。
確かに、現代中国語の語彙の70%が日本語からの借用であったり、白話文は魯迅が日本の言文一致体をモデルに創出したと言われたりする点から見ても、日清戦争以後は「日本の影響が顕著な時代」であることは頷けます。
シナ時代の二千余年を、岡田英弘は次のように細分化します。
大きく三期に分け、さらに各時期を前期と後期に二分するのです。
第一期:前 221年の秦の統一〜 589年の隋の文帝による再統一
前 期:秦・前漢・後漢 184年の黄巾の乱
後 期:三国時代・五胡十六国・南北朝
第二期: 589年の隋の再統一〜1276年の杭州陥落 (南宋滅亡) ・元の南北統一
前 期:隋・唐・ 936年の燕雲16州の契丹への割譲
後 期:遼 (契丹) ・金/五代十国・北宋・南宋
第三期:1276年の元の南北統一〜1895年の日清戦争敗戦
前 期:元・明・1644年の清の北京入城
後 期:清の北京入城以後、日清戦争敗戦まで
時期区分は、歴史の悠久の流れを理解する上で頗る大切な作業です。ポイントは、何に目をつけて区分するか、です。岡田英弘は、「それぞれの時代において "中国" の観念が適用され得る地域の拡がりと、 "中国人" に含まれる人々の範囲を基準として区分する」と言っています(22-24頁) 。
私は中国現代史の研究者ですから、今の中国を理解するため、過去に遡ります。
そういう観点からは、中華二千年の歴史を二分する方が判りやすい。
北方政権だった千年と、南方 (江南) の本格的開発を行った宋以降の千年です。
この観点からは、首都が北方 (北京) にあるか、南方 (杭州や南京) にあるかが重要になりますが、南方政権であった筈の明が、南京を首都にしながら、やがて北京も首都とし、結局北方に傾いて行く中途半端さに、中国史における北方狩猟族の吸引力 (魔力?) を感じます。
南方勢力である中国国民党は南京に首都を置きました。その間、北京は「北平」と、一地方都市に格下げされています。
ところが、同じく南方勢力であった筈の中国共産党が、ソ連と連携する必要もあって、江西ソヴェトを叩き出されたあと北方に逃げ、国共内戦で権力を奪取したあと、結局北京に首都を置きます。これも、中国史における北方の呪縛が働いた結果のようです。
シナの歴史に於ける南北問題は、日本史に於ける東西問題同様、興味深い機軸です。
(日本史に於ける東西問題とは、東方勢力=土着型・農民型・自給自足型、西方勢力=海洋勢力・貿易型・商人型の対照です)
(2007・6・16記)