NHK BSプレミアム に 出演します-伊原教授の読書室

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      NHK BSプレミアム に 出演します



  5月26日 ( 木 ) 晩、NHK  BSプレミアムの 「 江青 」 に出演します。

  是非、御覧下さい。


  今年は辛亥革命百周年です。

  辛亥革命がシナの歴史に何を齎したかは、現代史上、頗る興味ある題目です。

  辛亥革命でいろいろ變つた點も勿論あるのですけれども、

  政治の專制支配体質と、指導者が皇帝ぶる點は

  殆ど變りませんでした。


  それはともかく、NHK では、


  「 近代中國に君臨した女たち 」 といふ四回連續の番組を、

  BSプレミアムで放映します。


      第一回  23日 ( 月 ) 晩 放映  西太后

      第二回  24日 ( 火 ) 晩 放映  婉  容  ( 溥儀の皇后 )

      第三回  25日 ( 水 ) 晩 放映  宋慶齡  ( 孫文夫人 )

      第四回  26日 ( 木 ) 晩 放映  江  青  ( 毛澤東夫人 )


  私は、第四回の 「 江青  マダム毛澤東の孤獨と慾望 」 に出演します。


  共演者は、女性ばかり三人。


  進藤晶子 ( しんどう  まさこ、1971.9.10〜 )

    本名 深堀晶子。大阪府出身のフリー  アナウンサー。

    司會役で、話題を進めます。


  夏木マリ ( 1952.5.2〜 )

    本名 中嶋淳子。東京出身の女優・歌手。

    江青の積極性を高く評價する人です。

    日本で江青の傳記映畫を撮るなら、ぜひ主演したいといふ人です。


  楊  逸 ( ヤン  イー  1964.6.18〜 )   中國ハルピン生れ。

    1987年、日本留學。お茶の水女子大卒業。以來 ずつと日本在住。

    「 時が滲む朝 」 ( 『 文學界 』 2008年6月號掲載 ) で、2008年の芥川賞 ( 第139回 ) をとりました。

    日本語は流暢です。


  私はご存じの通り、文化大革命の研究を、毛澤東の側からではなく、江青の側からやりました。

    しかし江青の傳記が碌に判らず、1975年一年間を台灣で過ごし、

    江青を知る人と會つて話を聽き、江青の傳記資料を漁つてひたすら書き寫しました。

    そして 『 帝塚山大學論集 』 に 「 江青評傳稿 」 を連載しました。


      「 江青の最初の人生 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第11號, 34-73頁, 昭和51.3.31 )

              ( 「 江青の生ひ立ち 」 が素直な題ですが、

              ( the first stage of Jiang Qing's life

              ( といふ英語が頭に付纏ひ、こんな 妙な題をつけてしまひました )

      「 上海時代の江青 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第12號, 39-71頁, 昭和51.5.31 )

      「 江青:上海から延安へ──江青評傳稿 ( 3 ) ── 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第14號, 12-38頁, 昭和52.4.30 )

      「 毛・江結婚問題 ( その一 ) ──江青評傳稿 ( 4 ) ── 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第15號, 32-57頁, 昭和52.5. )

      「 毛・江結婚問題 ( その二 ) ──江青評傳稿 ( 4 ) ── 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第16號, 33-75頁, 昭和52.7.30 )

      「 毛・江結婚問題 ( その三 ) ──江青評傳稿 ( 4 ) ── 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第17號, 35-66頁, 昭和52.9.30 )

      「 延安時代の江青──江青評傳稿 ( 5 ) ── 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第18號, 34-76頁, 昭和53.1.30 )

      「 江青と延安整風──江青評傳稿 ( 6 ) ── 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第19號, 34-72頁, 昭和53.4.30 )

      「 江青の長征:陜北轉戰──江青評傳稿 ( 7 ) ── 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第20號, 55-103頁, 昭和53.7.7 )

      「 五十年代の江青──江青評傳稿 ( 8 ) ── 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第21號, 55-102頁, 昭和53.9.30 )

      「 江青の文革準備 ( その一 ) ──江青評傳稿 ( 9 ) ── 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第30號, 26-50頁, 昭和55.9.10 )

      「 江青の文革準備 ( その二 ) ──江青評傳稿 ( 9 ) ── 」

              ( 『 帝塚山大學論集 』 第31號, 28-63頁, 昭和55.12.10 )


  「 江青評傳稿 」 はここで途切れます。

  しかし、學術論文ではありませんが、私は以下の文章で江青の自殺までを追跡してゐます。


    1. 「 現代中國の皇后──江青自傳 ( 1-4 ) 」

          ( 雄山閣 『 歴史公論 』 昭和51年12月號/昭和52年1月號/2月號/3月號 )

          ロクサーヌ・ウィトケ の 聽き書き ( 英文 ) を譯して詳しく檢討したもの。

          これは 「 學術論文 」 の形式をとつてゐます。

    2. 「 江青と毛澤東──太后支配を狙つた女性── 」

          ( 『 自由 』 1978年12月號 150-180頁 )

          毛澤東の後繼者を狙つた文革の女闘士・江青の失脚への歩みを辿つたもの。

    3. 「 江青・女帝の夢 ( 上下 ) 」

          ( 『 自由 』 1978年12月號 93-108頁/1979年1月號 101-121頁 )

    4. 「 ケ・華暗闘の中の江青 」

          ( 『 經濟往來 』 1981年2月號,112-121頁 )

    5. 「 自殺した革命闘士 」

          ( 「 世界の話題 」 35 『 關西師友 』 平成3年8月號 38-39頁 )

    6. 「 毛澤東と江青 」

          ( 「 世界の話題 」 36 『 關西師友 』 平成3年9月號 32-33頁 )


  これだけの業績を出してゐるので、今回の 「 江青 」 に起用されたのでせう。


  江青については、 「 四人組 」 が逮捕され、裁判が行はれると、新資料が續々出て來ました。

  だから、私の 「 江青評傳稿 」 は、新資料に基き全面的に書き直す必要がありますが、

  出版社が見つからなかつたため、

  書き直す機會も、單行本に纏める機會も得ぬ儘 今日に到つてゐます。

  通俗本でも學術本でも、書く用意はあるのですが。