日本國民よ、賢くあれ 日本國民の頽廢と墮落

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伊原註:以下は 『 關西師友 』 平成21年 4月号に載せた 「 世界の話題 」 ( 232 ) です。

     少し増補してあります。




        日本國民よ、賢くあれ



        日本國民の頽廢と墮落


  「 日本は古い歴史と優れた傳統を持つ素晴らしい國なのだ 」 「 私たちは日本人として我國の歴史について誇を持たねばならない 」 と書いた田母神俊雄空幕長が、 「 政府見解と違ふことを言つた 」 として馘首されました。


  しかし馘首後の田母神さんは日本全國各地から講演依頼で引張りだこ。


  3月 1日には、米國西岸ロサンゼルスで講演しました。

  3月 7日付の 「 産經ニュース 」 ( ネット版 ) に松尾理也記者の會見記事があります。

  講演を聴いた日本女性が、田母神さんにこんな質問をしたさうです。


  「 私は本當に日本はいい國と思つてゐます。

  「 ところが日本に歸國してさう言ふと、なぜか場の空氣が白けてしまひます。

  「 どうしてでせう? 」


  實際、日本には、反日日本人が多いのです。

  父祖の徳を讃へず、指導者を貶しまくり、國防の任に當る自衛隊員を白眼視する……。

  國旗・國歌にそつぽを向く。

  そんな教員が馘首されずに税金で養はれ、子供を教へ續けてゐます。

  またこの事態に、國民は文句をつけてゐません。


        米占領軍の日本弱體化政策


  こんな事態になつたのは、米占領軍の日本弱體化政策に起因します。


  民法改正で日本の家制度を潰し、ばらばらの個人に解體し、日本の傳統的社會を分斷した。

  これに積極的に協力したのが、大正デモクラシーの徒、宮澤俊義・我妻 榮・横田喜三郎の東大三人組です。

  ( 中西輝政 『 國民の文明史 』 産經新聞社、平成15.12.10, 277頁以下 )


  日本國民を 「 日本惡者史觀 」 で洗腦した上、間接檢閲方式を採つて日本マスメディアに對米自己規制を植付けました。

  ( 江藤 淳 『 閉ざされた言語空間:占領軍の檢閲と戰後日本 』 文春文庫、1994.1.10 )


  戰前の日本の價値觀を消す焚書もやりました。

  ( 西尾幹二 『 GHQ焚書図書開封 』 徳間書店、08・6・30/ 『 同2 』 08・12・31 )


  極めつけは、FDR ( フランクリン・デラノ・ローズヴェルト大統領 ) の日本近隣諸國への反日感情植付け策です。


  滿洲事變以來の現状變更を訂正する筈の戰後處理に、FDRは千島・樺太をソ聯に與へて日ソのいがみ合ひを狙ひました。

  冷戰と相俟つて、日ソ平和條約がいまだに締結されてゐないのは、FDRの狙ひ通りです。


  朝鮮・台灣も日本から吐出させました。

  滿洲事變以來の事態に決着をつける筈の第二次大戰の戰後處理に、その枠を超えることをやってのけた。

  日本を弱體化するため、滿洲事變以前の事態にも變更を加へたのです。


  朝鮮半島南部を占領した米軍は、占領下の朝鮮人民に反日感情を植付けました。


  日本の近隣諸國に日本と反目さすことが、世界を牛耳る米國にとつて必要な事態でした。


        日本國民よ、目覺めよ


  これに日本國民はどう對應すべきか?

  近隣諸國と友好を保ちつつ圓滿に付合へる國になるのは簡単です。

  日本は、日本本來の姿に戻れば良いのです。


  日本本來の姿とは何ぞや?

  美と崇高を尊び、慈悲で包む優しさを持つた武人の國です。

  この 「 武人の國 」 といふのが大切です。惡を退ける力が不可欠だからです。

  邪惡と横暴を退ける力を持ちつつ、慈愛を以て共存共榮を圖るのです。

  それには、力だけでは足りない。

  頭を使はねばなりません。


  米國は淺はかな國です。

  共産主義のソ聯を助け、反共の日獨を叩き潰したあと、日獨の代りに反共の砦となり、ソ聯と對抗せざるを得なくなつた國です。

  何で君ら、ソ聯を育てたんや? と言ひたいですねえ。

  彼等米國人は、ロシヤの歴史も國體も、日本の歴史も國體も知らず調べることもせずに、浅はかにも力を行使して事態を捌いたのです。


  イラン憎しとばかり隣國イラクを軍事大國に育て、やがてイラクを叩くに到つた國です。


  米國は今なお世界を叩き潰す力を持つ。その米國の力を、世界を混亂さすためでなく、うまく廻轉するために使ふやう忠告できる國に、日本がなればいい。


  覇權國になるつもりのない平和志向の日本は、忠告者に最適です。

  但しそれにはうんと賢くなければなりません。

  その賢さを磨くことこそ、日本が目指すべき道です。

( 2009.3.11 )